出産前後に会社へ行う手続きは、産休・育休の届け出から始まり、育児休業給付金の申請、社会保険料の免除手続き、そして職場復帰の準備まで多岐にわたります。しかも手続きごとに期限や申請先が異なり、「会社に伝えるだけでいいの?」「自分でハローワークに行く必要があるの?」と混乱しがちです。このページでは、出産後に会社へ行う手続きをすべて網羅し、申請の流れ・必要書類・よくあるミスまで詳しく解説します。育休に入る前に確認しておくことで、給付金の受け取り漏れを防ぐことができます。
会社手続き一覧表【2026年最新】
まずは会社に対して必要な手続きの全体像を確認しましょう。
| 手続き名 | 申請先 | タイミング | 主な必要書類 |
|---|---|---|---|
| 産前産後休業(産休)の届け出 | 勤務先の人事・総務 | 産前6週間前(多胎14週間前)まで | 出産予定日が分かる書類(母子手帳など) |
| 育児休業(育休)の申請 | 勤務先の人事・総務 | 育休開始の1ヶ月前まで | 育児休業申請書(会社指定様式) |
| 育児休業給付金の申請 | 会社経由でハローワーク | 育休開始から2ヶ月ごとに申請 | 育児休業給付金支給申請書、賃金台帳など(会社が準備) |
| 社会保険料の免除手続き | 会社経由で年金事務所 | 育休取得後すみやかに | 健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者申出書(会社が提出) |
| 職場復帰の連絡・保育園状況報告 | 勤務先の人事・総務 | 復帰予定の2〜3ヶ月前 | 育児休業期間変更申出書(必要な場合) |
手続き①:産前産後休業(産休)の取得
手続き①
産前産後休業(産休)の取得届け出
| 対象者 | 会社員・パートタイム労働者(雇用形態を問わず) |
|---|---|
| 取得できる期間 | 産前:出産予定日の6週間前(多胎は14週間前)から/産後:出産翌日から8週間(産後6週間は強制休業) |
| 申請先 | 勤務先の人事・総務部門 |
| 必要書類 | 出産予定日が記載された書類(母子手帳のコピーなど) |
| 期限 | 法定の定めはないが、産前6週間前までに申し出るのが一般的 |
産休は労働基準法で定められた法律上の権利です。会社の許可を得る必要はなく、届け出るだけで取得できます。産前休業は任意取得(本人が希望すれば取得できる)ですが、産後6週間の休業は強制休業となっており、会社が就業させることは禁止されています。
産前産後休業中は給与の支払いが保証されているわけではありませんが(会社の規定による)、代わりに健康保険から「出産手当金」が支給されます(健康保険加入者のみ)。出産手当金については記事3の行政手続きガイドで詳しく解説しています。
手続き②:育児休業(育休)の申請
手続き②
育児休業(育休)の申請
| 対象者 | 1歳未満の子を養育する労働者(雇用形態を問わず) |
|---|---|
| 取得できる期間 | 子が1歳になるまで(保育園未入所等の場合は最大2歳まで延長可能) |
| 申請期限 | 育休開始予定日の1ヶ月前まで(産後パパ育休は2週間前まで) |
| 申請先 | 勤務先の人事・総務部門 |
| 必要書類 | 育児休業申請書(会社指定様式)、子の出生を証明できる書類 |
育休は育児・介護休業法に基づく権利で、男女ともに取得できます。2022年10月の法改正により「産後パパ育休(出生時育児休業)」が新設され、子の出生後8週間以内であれば父親も最大4週間(2回に分割可能)の育休を取得できるようになりました。
育休延長の条件:子が1歳時点で保育所等に入所できない場合は1歳6ヶ月まで、それでも入所できない場合はさらに2歳まで延長できます。延長申請は、1歳・1歳6ヶ月の誕生日の2週間前までに会社へ申し出る必要があります。
男性育休のポイント:2022年4月の法改正で、従業員1,000人超の企業は育休取得率の公表が義務化されました。また「育休取得に向けた個別の働きかけ」も義務付けられています。男性も積極的に育休取得を検討しましょう。育休中は育児休業給付金が支給され(後述)、手取り収入が大幅に減るわけではありません。
手続き③:育児休業給付金の受給
手続き③
育児休業給付金の受給手続き
| 支給対象者 | 雇用保険に加入している育休取得者 |
|---|---|
| 支給額 | 育休開始から180日目まで:休業開始時賃金日額×支給日数×67%/181日目以降:×50% |
| 申請先 | 会社(事業主)経由でハローワーク |
| 申請タイミング | 育休開始から約2ヶ月後に初回申請、以降2ヶ月ごとに申請 |
| 振込先 | 本人名義の口座(会社に届け出た口座) |
育児休業給付金は、育休中の収入を補填するための雇用保険の給付です。支給額の目安として、育休開始から180日間(約6ヶ月)は休業前賃金の67%、それ以降は50%が支給されます。社会保険料が免除される期間(後述)と合わせると、実質的な手取り収入は休業前の約80%程度になると言われています。
申請の流れ:①会社に育休申請→②会社がハローワークに「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」を提出→③ハローワークが審査・支給決定→④本人の口座に振込。初回の支給まで2〜3ヶ月かかることがあるため、手元の貯蓄で対応できるよう事前に準備しておきましょう。
必要書類(会社が準備するもの):育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書、賃金台帳(休業開始前6ヶ月分)、出勤簿、雇用保険被保険者証、母子手帳のコピー(出生確認用)など。
手続き④:社会保険料の免除
手続き④
育休期間中の社会保険料免除
| 免除される保険料 | 健康保険料・厚生年金保険料(本人・会社負担分ともに免除) |
|---|---|
| 免除期間 | 育休開始月から育休終了日の翌日が属する月の前月まで |
| 申請先 | 会社(事業主)が年金事務所または健康保険組合に申請 |
| 手続き方法 | 「健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者申出書」を会社が提出 |
| 注意点 | 将来の年金額への影響なし(免除期間も保険料を納めたものとして計算) |
育休中は健康保険料と厚生年金保険料が、本人負担分だけでなく会社負担分も含めて全額免除されます。これは会社が年金事務所等に申し出ることで自動的に適用される制度です。免除期間は育休開始月から適用されます(月末時点で育休中であれば当月分が免除)。
重要なのは、社会保険料が免除されても将来受け取る年金額には影響しないという点です。免除期間は保険料を全額納めたものとして年金額の計算に反映されます。また、育休中に賞与が支給された場合も、その賞与にかかる社会保険料も免除対象になります(2022年10月以降の育休に適用)。
手続き⑤:職場復帰に向けた準備
手続き⑤
職場復帰の連絡・保育園状況の報告
| 連絡先 | 勤務先の人事・総務・直属の上司 |
|---|---|
| タイミング | 復帰予定の2〜3ヶ月前(保育園の選考結果が出た後) |
| 提出書類 | 育児休業期間変更申出書(育休期間を変更する場合) |
| 確認事項 | 復帰日、勤務形態(時短勤務等)、復帰後の配属・業務内容 |
保育園の入所可否が決まったら(多くの場合2月〜3月)、速やかに会社へ復帰予定日を連絡しましょう。育休延長が必要な場合(保育園未入所など)は、延長手続きの期限(1歳・1歳6ヶ月の誕生日の2週間前まで)を守ることが重要です。
復帰後は短時間勤務制度(3歳未満の子を養育する場合、1日6時間への短縮を申し出られる)を利用できます。この制度も育児・介護休業法に基づく権利ですので、必要に応じて会社に申し出てください。
会社手続きの注意点・よくあるミス
ミス①:育休の申請期限を過ぎてしまった
育休の申請期限は「育休開始の1ヶ月前まで」が原則です(産後パパ育休は2週間前まで)。期限を過ぎると会社が申請を拒否できる場合があります。妊娠が分かった時点で育休取得の意向を伝え、スケジュールを早めに調整しましょう。
ミス②:育児休業給付金の申請を会社に頼むのを忘れた
育児休業給付金は自分でハローワークへ行くのではなく、会社が代理で申請します。しかし中小企業では人事部門が不慣れなケースもあるため、「給付金の手続きをお願いします」と明示的に依頼することが大切です。育休に入る前に担当者に確認しておきましょう。
ミス③:育休延長の申請期限を過ぎて給付金が受け取れなくなった
育休を1歳以降に延長する場合、延長できるのは「保育所等に入所できない場合」等の理由がある場合に限られます。また、1歳・1歳6ヶ月の誕生日の前々日(2日前)までに延長申請を行う必要があります。期限を過ぎると給付金の支給が途切れることがあるため、保育園の選考結果が出たらすぐに会社へ連絡しましょう。
ミス④:産後パパ育休の申請を忘れた(父親)
2022年10月に新設された「産後パパ育休」は、子の出生後8週間以内限定の制度です。この期間を過ぎると通常の育休しか取得できなくなります。出産が近づいたら父親も早めに会社へ「産後パパ育休を取得したい」と申し出ておきましょう。
よくある質問
Q. 育休は何ヶ月取れますか?
原則として子が1歳になるまで取得できます。保育所等に入所できない場合は1歳6ヶ月まで、さらに入所できない場合は2歳まで延長可能です。また、2022年10月より育休を2回に分割して取得できるようになりました(産後パパ育休と合わせると最大4回まで分割可)。なお、育児休業給付金が支給されるのも最長2歳到達月末日までです。
Q. 育児休業給付金はいくらもらえますか?
育休開始から180日間(約6ヶ月)は、休業開始時の賃金日額×支給日数×67%が支給されます。181日目以降は50%に変わります。たとえば月給30万円の方の場合、最初の6ヶ月は約20万円、以降は約15万円が目安です(社会保険料免除・非課税のため実質手取りは休業前の約80%程度)。ただし上限額があり、2026年度の上限は1日あたり約15,740円(67%適用時)です。
Q. パートタイム・契約社員でも育休・給付金は受け取れますか?
はい、受け取れます。育休は雇用形態を問わず取得できます(ただし「引き続き雇用された期間が1年未満」の有期雇用労働者は、労使協定により対象外とされる場合があります)。育児休業給付金については、雇用保険に加入していることと、育休開始前2年間に雇用保険の被保険者期間が12ヶ月以上あることが受給条件です。
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